英語教育の質的研究会

和泉敏之によるオンライン質的研究会です!

英語のゲーム(8):知覚動詞

これは何でしょうゲーム

 

今回は知覚動詞を使用したゲームについて説明します。中学校の段階でまず登場するのが look、smell、taste という視覚、嗅覚、味覚に関する表現です。これらはcopularであり、NPとNPを=たで結ぶVpになります。このような感覚に訴える表現を使用 する場合、感覚を活用したアクティビティを考えなければなりません。その一案として、「これは何 でしょうゲーム」について紹介します。

 

まず、学習者をペアーにし、背中合わせで座らせます。学 習者Aに食べ物などのモノを用意し、それを触ったり、においをかいだり、実際に味わったりさせ ます。そして、その学習者の主観で「This smells good.」 「This looks red.」などと言い、パートナーの 学習者Bがそれを何か当てるゲームです。このゲームを通じて、学習者は主観と主観のぶつかり 合いという感情体験を経験します。自分の主観だけで世界は成立しているのではないという「常 識」を、学習者に体験させるゲームです。ある程度、ゲームが進行したら、クラスのムードメーカー などに教卓で実践させてもよいでしょう。教師サイドでも物をいくつか準備している必要があります。というのも、いわゆる貧困層の家庭の生徒などは何かを持ってくることは困難であることもしばしばあるからです。

英語のゲーム(7):there is/are 構文

パートナーの部屋を描くゲーム

 

インフォメーション・ギャップ を行います。学習者に紙を配布し、ペアーでパートナーの部屋の絵を描くゲームです。パート ナーが「There is a book shelf on the right side of my room.」などと言い、パートナーの部屋を描い ていきます。一通り情報の伝達が終わったら、お互いに絵を見せ合い、実際の自分の部屋に近い かどうかチェックします。これにより、やや機械的なインフォメーション・ギャップの活動ではあるもの の、お互いの相互理解を目的とした活動になります。

 

ことばは社会をつくるために存在し、社会は お互いの理解の進み具合で築かれるものです。英語を使用したゲームを考える際、特に使用した い文法項目がある場合は、このような相互理解が行えるかどうかを軸に考えると良いでしょう。いき なり、「話したいことを話してごらん」と学習者に投げかけても、学習者は困惑するだけです、教育 と放任は異なるということをここで指摘する必要があるでしょう。

英語のゲーム(6):過去進行相

カップルのケンカゲーム

 

過去進行形を使ったゲームです。今回はゲームよりもロールプレイの要素が大きいと 思います。まず、学習者にワークシートを配布し、昨日したことを書かせます。そして、同性同士で ペアーを組ませ、架空のカップルにします。異性だとやはり精神的な配慮が必要なので、同性同 士でカップルと見立てることにします。また、事前の生徒指導で恋人と別れたりしている生徒がいることがわかっているならば注意が必要です。

 

ペアーで「昨日電話をかけたのに出なかった。何をしていた の?」というセリフを言わせ、相手が何をしていたのかを言います。「Sorry, I was studying English.」など、過去進行形を使って、そのときどんな動作をしていて、その動作が完了していな かったことを伝えます。応用編として「You are always using the smartphone!」など進行形とalwaysという副詞を組み合わて、「あなたはいつも〜しているなぁ」など少し苛立ちを表現する進行形の使い方も指導します。ですが、やじりあいだけで終わらないよう注意します。

 

その後は、英語を使用して、仲直りをするのが目的です。ここでは、過去進 行形にこだわる必要はありません。こうしたリアルな言語使用場面を設定することによって、言語使 用の臨場感が強まります。また、将来結婚したときなど、「ケンカしながらでも仲良くやっていく」というようなコミュニケーション能力を育てるための意識を育むことにもつながります。

英語のゲーム(5):過去時制

友達の昨日の記録ゲーム

 

今回は一般動詞の過去形についてのゲームです。事前に助動詞 doやdidを中心とした一般動 詞の過去形についての理解は深めておきます。

 

まず、学習者にペアーを組ませます。それぞれの 学習者にワークシートを配布して、昨日行ったことを書かせます。ワークシートの左側には自分の 昨日行ったことを記入し、右側はパートナーの昨日行ったことを空欄にしておきます。そして、英 語を使用して、それぞれパートナーが昨日行ったことを聞いていきます。

 

「Did you study English?」 「Yes, I did.」「No, I didn't.」などとインタラクションを行い、お互いの昨日行った一日の流れを完 成させていきます。ある程度、YES/NO Question を使用した後は、疑問詞 what と組み合わせて 「What did you do?」と聞き、行ったことそのものを聞かせます。こうして、学習者はパートナーの昨 日行ったことを尋ねることができ、そのパートナーがどのような人物なのかという想像を膨らませる ことができます。それを象徴した文を一文でパートナーに語り掛けさせてもよいでしょう。「Oh you are a hard worker!」など、パートナーの昨日行ったことから、その人物の内面について、単純な英 語でいいので、表出させることが大切です。

 

過去時制は現在と切り離されているため、今はしていないという焦点化を充てるのも大事なことです。これを発展させて、現在時制と組み合わせて毎日やってるの? などと応用的なインタラクションを行えば、ただ、文法事項に焦点を当てた機械的なコミュニケーションだけではなく、より意味理解に重点化したコミュニケーションを模倣的にですが、行うことも可能です。

英語のゲーム(5):現在進行形

アニマル探偵団

 

この活動は現在進行形を使用した活動です。現在進行形は動作自身に焦点が置かれ、まだ終わってないことに注目される相が表現します。この特徴を活用したゲームです。

 

まず、課題で家の近くで動物の写真を一枚取ってくるように指示します。動物が苦手な生徒にはインターネットでフリー画像を選ぶように指示します。ただし、動物を撮影する際、その動物には触れないこと倫理上のルールも徹底しておきます。そして、実際の授業ではペアになり、お互いの写真の動物がどのような状況で、どのようなことをしているかを当てるクイズにします。

 

この時、進行形の疑問文を使い、相手の写真がどのようなものかを想像します。What are they doing? から始まり(近年使用される中性のtheyについても提示)、Are they running? Are they flying?などと質問をして、相手はYes, they are. / No, they aren't. などとインタラクションをします。インタラクションが進んていけば、Are they dogs? などのような既習事項のYes/No Questionsや Where are they? などのwh-Questions も復習として使用できます。

 

単に英会話で終わるのではなく、学習者の創造性や好奇心をくすぐるゲームをこれからも考えていきたいものです。

英語のゲーム(3):助動詞 can

あなたは何のキャラクター?

 

まずは、助動詞 canを用いたゲームです。助動詞 can というのは「潜在的能力」について表現する ときに使用されます。自分が根源的に持っている能力のことです。ですので、これを活用して、ア ニメやゲームのキャラクターなどの能力に応用できます。学習者にワークシートを配布して、それ ぞれアニメやゲームのキャラクターと能力を書いているリストを提示します。そこからどのキャラク ターかを選び、ペアーで当て合いをするゲームです。学習者は「Can you fly?」などと聞き、パート ナーの学習者は「Yes, I can.」か「No, I can't.」で答えます。リストの中の能力は英語で書いていて も良いし、日本語で書いていて、学習者に自分で英語を作らせてもよいでしょう。先に英作文をさせてから、暗唱して使用するというステップも大事なことです。

英語のゲーム(2):助動詞do を使った疑問文

するの? しないの? ゲーム

 

このゲームはペアーで行います。まず、学習者にワークシートを配布し、それぞれの日課を日本 語で書かせます。次に、それを英語で書かせます。その英文が暗唱できるようになってからゲーム のスタートです。

 

ペアーでお互いの日課について探ります。「Do you go to juku?」などと聞き、 「Yes, I do.」、「No, I don’t.」などと答えます。このとき、質問する側は10回聞けるなど、回数を設定 しておきます。YESの答えが引き出せた回数を記録しておきます。その回数が多いほど、そのぺ アーはお互いのことをよく知っていたという意味になります。これは疑問文を使用することが中心で すが、「Do you like TV?」などと聞き、相手は「No. I don’t like TV.」などと文で答えさせれば、否定 文を用いることもできます。また、後に学ぶことになる否定疑問文に対する答え方(日本語と英語 は逆になり、「はい、しません」のときは「No, I don’t.」 になる)というようなことを、やや機械的であり ますが、反射的に理解させることができます。こうして、10回中何回YES が引き出せたかということ を競うゲームにすれば、学習者は本気で文を考えることになります。この発展版として、質問する側はYESを引き出し、質問される側はNOを引き出 せた方が良いというペアー内での心理ゲームにしても良いと思います。

 

ただし、相手のプライバシーをあまりに掘り起こす質問や身体・内面的特徴をいじるような質問は禁止にしてください。そうではなく自分の知らない相手のことを「想像する」ことがこのアクティビティのポイントです。このアクティビティを通じて、 学習者は疑問文や否定文を使用するだけでなく、お互いの理解を深めることにつながります。