和泉敏之の質的研究会

和泉敏之によるオンライン質的研究会です!

綾屋紗月・熊谷晋一郎(2010)『つながりの作法』NHK出版

ようやく自分の相棒とも言うべき「理論」にめぐりあえました。「理論」といっても学術的な理論ではなく、「研究をする際に覚えているべきこと」のような意味合いです。自分の病気が始まった2009年から注目している当事者研究は、私の心を揺さぶり続けています。これは社会科学や認知科学のような権威を持った科学ではなく、あえて言うならば「生きる科学」とでも言えると思います。

 

当事者研究に明るい2人の東京大学研究者が語ってきたことは「支配しない」、「決めつけない」、「評価しない」と言ったことでしょうか。このような「~しない」の文言では、当事者研究が教示のための教典のように写ってしまいそうですが、これは人間の意味や可能性を探りながら、自分の研究をしていく、本当に人間臭いアプローチです。

 

私も自己の探求のために、メタファーとして小説を書いてきました。が、それにも限界を感じている昨今です。やはり、仲間同士で「等身大の自分」について語り合うことを、もっと重視したいと思います。人は語り、受け入れられ、受け継いでいくことにより回復(成長)していくのですから。