和泉敏之の質的研究会

和泉敏之によるオンライン質的研究会です!

山西博之・田中博晃(2003)『英語教育学研究における質的研究と量的研究の融合』外国語メディア教育学会

英語教育における質的研究と量的研究の融合にはずっと興味をもってきましたので、本論文を拝読しました。2010年以降の「社会的ターン」あるいは「質的ターン」より以前の論文ですので、バイアスはさらに低いと考えられます。

 

本論文では、「仮説検証」と「仮説生成」を軸に、「カタログ」として質的研究と量的研究を組み合わせる「仮説継承」なる概念が導入されています。このような手法は確かに、そのあとの英語教育界隈で馴染みのあるアプローチになってきたと考えられます。よって、時代を経るにつれて、「量的vs質的」の二項対立はすこしは軽減されてきたのではないかと思います。具体的な手法としてKJ法が紹介されているのにも頷けます。

 

私はさらに深掘りして、「量的とはなにか?」、「質的とはなにか?」といった問題意識を持つに至りました。そしてそれぞれは真に「仮説検証」と「仮説構築」に適しているかが気になります。具体的な方法として、ヘーゲルの『論理学』を精読し、まずは観念的に「量と質」の関係を深掘りして考えてみては? と思っています。