英語教育の質的研究会

和泉敏之によるオンライン質的研究会です!

2023年「今年の10冊」

  1. ラクションを鳴らせ!

 

香川県を代表する起業家の精神や 方法論が学べる本。スローライフな 私にでもこの著者の言うことが突き刺さるのは 信用ができるからだと思う。話に一貫性があり、強いリーダーとしての本質が学べると思う。まさにリーダーとしての生きる証拠である。

 

  1. NASAより宇宙に近い町工場

 

北海道の起業家の公園を基にした本。どうせダメだという言葉は人の可能性を踏みにじる 最低な言葉だと痛感した。何もなければ 作ればいい とは 簡単には言うが それを実行に移してきた人の本だから納得がいく。

 

  1. 記憶は実在するか

 

神経科学の最先端の本。ニューロンが司っている記憶はそもそも曖昧で不明瞭なものでほとんど全てが ナラティブとして置き換えられるのではないかという視点から 脳科学を切り開いている。随所にエピソードがあるのも分かりやすい。

 

  1. 三流のすすめ

 

1つのことを極めた 専門家よりも、あらゆることをかじった 三流になるべきだと主張する本。今年は特に 二刀流の大谷翔平選手の活躍ぶりが目立った年だった。それもあり、私も スペシャリスト より ジェネラリストを目指すべきだという点に賛同する。

 

  1. 世界一やさしい東洋医学

 

自主研究の一環で読んだ。西洋医学とは異なる 東洋の医学について基本から学べる本。そもそも 東洋医学には陰陽などの背景 思想があり そこも理解しなければならないと感じた。西洋 東洋 という二分法 から自由になるのにも役立つと思う。

 

  1. 文化と不平等

 

文化を一人歩きしているコンセプトではなく、批判的に取り扱った本。特に 文化の作用によって 均質化や一元化など が 引き起こされ、狭い価値観の暴走から不平等が起こるというロジックがしっかりとしたデータで裏付けられている。

 

  1. アクティブラーニングのデザイン

 

自主研究の一環で呼んだ。東京大学におけるアクティブラーニングの実践書。すぐに役立つ本 というよりかは、その背景を抽象化し 個人個人で 内在化するのが有益かと思う。そもそも アクティブラーニングとは という視点にも立てる本。

 

  1. 平和創造のための新たな平和教育

 

平和教育の背景にある平和学の基本的な理念について学べる本。積極的平和と消極的平和という言葉は慣れ親しんでいた。が、平和と言っても「我々」と「彼ら」で 意味するところは違うということは、特に昨今 覚えておかなければならない命題だと思う。

 

  1. グレート・リセット

 

新型 コロナウイルスが蔓延していた最中に開催された、いわゆるダボス会議の報告書。私は2020年から2023年までの総括を行うべきだと考える。一斉休校などは果たして 正しかったのか。歴史を当事者的に作らなければ、未来に 展望は訪れない。

 

  1. 社会構造とゼマンティク

 

今年 呼んだ中で一番手 強かった本。2017年にはほとんど理解できなかったが 再読すると、まだ理解力が高くなったことに気づいた。現実性と潜在性を結合させる意味について、それを 歴史研究に応用させるとどのような記述がなされるのか。ヨーロッパなどを中心に 詳細に描き出している。この分析方法が 英語教育史研究のコンテクストでどのような貢献がなされるのか、それについても興味がわいた。

 

 

今年世界にインパクトを与えたのは何と言っても 生成系 AI でしょう。またまた 思いついたのですが本を読む前にChatGPTとその本についてのトピックで語り合いをし.所々 不明点があったらまた 語り合いをし(ChatGPTをメモの代わりに使う)、本を 読み終わった後に感想を共有する、そんなプロセスで生成系 AI を読書のパートナーとして活用していきたいと思いました。

 

また今年は個人的な病気のために、スマートフォンタブレットに付属されている文字の 音声化機能を使って、耳で本を読むという活動も始めました。これは塙保己一さんなどからヒントを得たものです。聴覚と視覚では処理が違うでしょうが、私をはじめとする現代人は耳をおろそかにしているのではないかと思わされました。目に見えるものだけでなく、色々な感覚を使って本当に私に本の著者が語りかけてくれていると感じるに至りました。この私が名付けた 聴覚活動 略して 聴活は来年も続けていきたいと思います。

 

2024年も素晴らしい本に巡り会えますように。